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祝・『ウマ娘』大ヒット!ビジネスから見るゲーム業界への影響【ゲーム業界就活】

ご機嫌よう、毛玉です。
自転車漕いでいるときにうまぴょい伝説を歌うといい感じで風になれます。

2021年2月、開発から5年、満を持してCygamesより『ウマ娘 プリティーダービー』がリリースされました。700万ダウンロードを突破(以降本記事にて扱う情報は2021年5月現在に準拠します)、月の売上は100億を超えるという大ヒット。その人気はゲームにとどまらず、実際の競馬や競走馬人気につながり社会現象となっています。

プレイしている人も多いと思いますが、ゲームクリエイターとしてプロを目指すのであれば単に「おもしろーい!」で終わらせずにビジネスとして分析しましょう。
ちなみに、遊んでない人もぜひプレイしてみてください。プロを目指すならヒットしているゲームは好みなくても遊んで分析すると良いですよ。

今回はゲームビジネスの現場から『ウマ娘』のヒットがゲーム業界に与える影響を解説していきます。

・『ウマ娘』の売上は他のタイトルの売上を削る
・高いゲームクオリティにはコストがかかる
・ゲームはビジネス。ゲーム開発はお金を意識しよう

空前絶後の大ヒットウマ娘!

そのゲームがおもしろいかどうか、それはユーザーが決めることです。
われわれ商業ゲームであればできるだけ多くのユーザーに受け入れられ、たくさん売り上げられるかが重要です。

つまり、多くのユーザーが時間をかけてプレイし、売上があればそのゲームはおもしろいと言えます。
では『ウマ娘』の売上を見てみましょう。売上高自体は公表されていませんが、サイバーエージェントの第2四半期決算によるとゲーム事業の売上高は前年同期比42.7%増の639億円とのこと。
40%が『ウマ娘』の貢献分だとして、リリース1ヶ月強で256億円の売上!
1本タイトルが出るだけで会社の売上が2倍増えたというのはものすごいことです。
Social Game Info
さらに驚きなのが4月の世界モバイルゲーム売上ランキングで3位
他のタイトルは日本語圏以外で広く配信されていての売上なのに『ウマ娘』は日本での配信のみ。どれくらい凄まじい売上なのかがおわかりいただけるでしょう。
GAME Watch

 Cygames開発のAndroid/iOS/PC用育成シミュレーション「ウマ娘 プリティーダービー」が、2021年4月…

学生
学生
へー!『ウマ娘』すごーい!

しかし、ヒットという他のゲームタイトルに影響が出るものなのです
毛玉
毛玉

ゲームに限らず、ビジネスにはマーケットシェア、市場占有率が重要です。
マーケットとはその商品を売る場を指します。簡単に説明するとゲームを買ってくれる人たちのボリューム、ユーザーさんのゲームに払うお金のことです。ゲームに払えるお金も限度がありますよね。

ゲーム業界は年々市場規模を拡大し、成長産業と言われることもありますが、少子高齢化で人口自体が減少する中、ゲームユーザーが劇的に増えることはありえません。

また、ユーザーさんの可処分時間も限りがあります。お金・時間はゲームだけに使えるわけでもありません。趣味に使える金額・時間を他の映画・マンガやYouTubeといったエンターテインメントや友達と出かけたり、他の遊び・趣味と取り合いなのです。

『ウマ娘』大人気ということは、そのユーザーさんたちは無から生まれたわけではなく、既存タイトルのユーザーさんがやってきたのです。
この『ウマ娘』マーケティングレポートを見るとユーザーがどこから来たかわかります。
RELEASE
同時期にリリースされた『NieR Re[in]carnation』から3.61万人、『ブルーアーカイブ』2.98万人から流入しているとのことで、大きく動いているのは新しいゲームはとりあえずやってみる層。
また、『ウマ娘』と同時にプレイされているのが『Fate/Grand Order』『パズル&ドラゴンズ』『モンスターストライク』など、既存の人気タイトルです。『プリンセスコネクト! Re:Dive』『グランブルーファンタジー』などCygamesタイトルユーザーもプレイしています。

他社決算から見る『ウマ娘』

爆発的なヒットタイトルを他のゲーム会社が無視できないのはわかりましたよね。
実際にどのように『ウマ娘』を捉えているか、決算から読み取れます。

前述の『ウマ娘』と一緒にプレイされている『モンスターストライク』のミクシィ社。『モンスターストライク』は前年の売上より低かったそうですが、『ウマ娘』にユーザーが流れたんでしょうか?決算説明会で株主からの質問に社長の木村氏が答えています。

「短期的には同じスマートフォンゲームであるため、少し影響はあるのでは」と述べた。ただし「私達は友達とわいわい楽しめる独自のポジションを築いており、長期目線で見た場合は、その影響は軽微ではないか」と続けた。

Social Game Info

ミクシィ<2121>の木村 弘毅社長(写真)は、本日(5月7日)開催の決算説明会で、主力タイトルである『モン…

コロプラやグリーも言及していますね。

Social Game Info

コロプラ<3668>は、5月7日、2021年9月期の第2四半期決算(10~3月)を発表し、テレフォンカンファ…

Social Game Info

グリー<3632>は、この日(5月10日)、第3四半期の決算説明会(テレカン)で、Cygamesの『ウマ娘 …

各社「影響は軽微」としていますが、同カテゴリタイトルには危機感がある様子も。まだリリースして浅いため、本当の影響はこれから出てくると思います。

何れにせよ、業界関係者であればビジネスの観点から無視できない存在になっています。

ゲームクオリティの維持問題

お財布の取り合いは非常に重たい問題ですが、現場開発者が恐れているのが、ゲームのクオリティ
『ウマ娘』スマートフォンゲ向けゲームのクオリティとしては正直桁外れ。開発現場からすると、あれをつくる・維持するのはかなりしんどいことなのです。

それは圧倒的に他社の技術が足りない、という話ではありません。クオリティが高いものをつくるのは時間と人手がかかります。『ウマ娘』の発表時期から見るに7年くらい開発に時間をかけているのではないでしょうか。そのためのお金も莫大に必要なので、開発に着手しづらくなるという話です。

新規開発大変だぞ

ここでパブリッシャーのゲーム開発のお金の話をしましょう。
ゲーム開発には当たり前ですがお金がかかります。とくに家庭用ゲーム機で遊ぶコンシューマータイトルは大変です。例えばグラフィック。どんどんゲーム機のスペックが上がり、表現の幅が広くなるとグラフィックのクオリティが上がります。クオリティが高いグラフィックをつくれる能力がある人材が必要で、しかも作業量も多いため、人数も必要です。さらに一回発売したあとに不具合が発生すると修正できないため、発売までにシステムの不整合をなくし、ありとあらゆるバグを潰す必要があります。これもかなりの人手と時間がかかります。

そして、当然のことながらゲームはリリースするまで1円もお金が入りません。開発している人たちのお給料は前作の売上で蓄えた中から支払うしかありません。完成したゲームが売れなかったら、これから一体お給料をどこから払ったらいいのでしょう。新しいゲームをつくるってのはなかなかの博打であります。割と簡単に会社が倒産したりします。

この10-20年、コンシューマーが下火になり、ソーシャルゲームやスマートフォン向けゲームのリリースが増えたのは、コストが低く、売上が見込めることが大きかったでしょう。

ソーシャルゲーム黎明期、新規1本のコストはとても低かったのです。10名程度のチームで、リリースまで3ヶ月。あとはリリース後に追加開発・改修をすればどうにかなった(なったかな、、、)時代でした。大変だったけど、新しいものにチャレンジしやすくてよかったんですよね。
ところが、スマートフォンの性能が良くなりゲームはどんどんリッチになってきました。そして最高峰『ウマ娘』の登場です。

一体、これからつくるゲームはどれだけコストがかかるの?そして単月100億稼げるゲームをつくらないといけないの?ランキング上位を争ってきた『パズドラ』で単月45億円くらいなのに。開発現場としては想像するだけで震えます。(もちろん、負けられん!やるぜ!!という人もいらっしゃいます)

学生
学生
えっ、ゲーム業界就職するの不安なんですけど、、、

大丈夫!腕があればすぐ転職できるから
毛玉
毛玉

運営だって大変だ

開発現場を震え上がらせているのは新規開発の場面だけではありません。
それはリリース後の運営についてです。コンシューマーと違い、スマートフォン向けのゲームはリリース後にシナリオ追加やイベントなどで継続して遊んでいくものです。
リリース後の運営が超重要なのです。

ゲームロジック・システム・グラフィックなどは新規開発で作り込んで、運営フェーズではそれらを元に追加・修正の開発を行います。
運営は運営で大変ですが、開発作業はリリース前の方が重いのです。企業やタイトルによっては開発人員を新規と運営で分けているところもあり、リリースしてしばらくすると新規開発メンバーは他のタイトルの新規開発に異動となり、運営メンバーがタイトルを運営していきます。

ところが『ウマ娘』、コンシューマー並のクオリティで開発されているため、運営でもこのクオリティを維持するための開発体制、つまり開発コストが必要なのです。
ユーザーさんがこのクオリティに慣れて、業界標準になってしまうとコストが増大します。

もう怖い
毛玉
毛玉

まとめ

『ウマ娘』を事例にゲーム開発のビジネスっぽいことをご説明しましたが、イメージできたでしょうか?
今後のゲームがどうなっているか気になりますが、ゲーム業界に意識してほしいこと。

ゲームをビジネスとして考えよう
おもしろいゲームをつくりたい、楽しく遊んで欲しい、伝われ、、、。
ゲームをつくる上でその気持ちはとても大事なのですが、私たちは仕事としてゲームを開発するのです。お金になるかならないか、それを考えてつくることが求められているのです。
ゲーム業界志望の学生さんからゲームをつくりたい気持ちは感じるけど、ビジネス視点が抜けているなあということです。企業側も単なるゲーム好きか、ゲームビジネスができる人かを見極めます。
私たちはまだ見ぬお客さまのためにゲームをつくって、お客さまの大事なお財布からお金をいただくのです。お金をいただけるゲームとは何か、日頃からプレイしたり、ゲーム情報を追うときは意識してもらえるだけでもビジネス視点は身についていくと思いますよ。
早速、意識してみてください!
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